親の土地に家を建てるなら覚えておきたい税金のこと!
親(両親)の土地に家を建てる場合、税金が発生するかもしれないって知っていましたか?
親の土地に家を建てることで、どんな税金が発生する可能性があるのかをご紹介します。
この記事の目次
1.親の土地に家を建てたら贈与税や相続税はどうなる?
時価よりも安い金額で親から土地を購入して家を建てる場合【みなし贈与】
結論から言うと、時価よりも安い金額で親から土地を購入した場合はみなし贈与となり、贈与税を支払う義務が生じます。 簡単に説明すると、本来であればあり得ない安価で土地を購入したならその差額は贈与とみなされることになります。
例えば、時価3,000万円の土地を子どもが親から1,000万円で購入したとしましょう。通常であれば、時価の半額以下の値段で土地を他人に売ることはないはずです。

つまり子どもは親から2,000万円に相当する贈与を受け取ったことになるのです。
親から土地を購入し、さらにその金額が時価よりも安価であった場合は、時価と譲渡金額の差額がみなし贈与と呼ばれます。この例でいえば、子どもは2,000万円に対して贈与税を支払う義務が生じることになります。
みなし贈与財産と贈与はどう違う?みなし贈与のよくある事例をご紹介します
権利金や地代を一切払わずに、親の土地に家を建てるなら
第三者に家を建てるための土地を貸借するのであれば、本来であれば通常権利金その他の一時金を収受する慣行のある地域ではその権利金などが収受され、さらに土地の使用対価として地代が支払われることになります。
しかし、親の土地に家を建てるのであれば、権利金や地代を支払わずに使用貸借契約(無償使用契約)を締結することが一般的です。支払うべきものを支払わずに家を建てたのだから、その権利金や地代は親から贈与されたとみなされるのではと思われることでしょう。
例えば、土地を他人に貸すのに毎月50万円の支払いが生じるとします。子どもが本来なら支払うべき権利金や地代の50万円は贈与と見なされるのでしょうか。
この場合は、贈与を受け取っていることにはならない仕組みになっています。子どもが権利金や地代を支払わずに親の土地を借りることを、「使用貸借」と言います。

使用貸借ではみなし贈与とはならず、借地権相当の贈与税がかかることもありません。
しかしながら、土地を相続する際には、借地権の評価分と相続税を多く支払うことになるので注意が必要です。つまり使用貸借している土地は、親から子どもに将来相続される土地となり相続する時に相続税がかかることになります。
通常、第三者に貸借している土地であれば借地権が発生し土地の相続税評価は下がります。しかし、使用貸借している土地の場合は、借地権が発生しているとはみなされず親の自用地として評価することになるため、相続税評価額も高額になりがちです。
使用貸借を利用する時に注意したい事

権利金と地代を支払わなければ使用貸借となるので、贈与税は一切かかりません。
ところが人によっては、地代だけは支払うという方もいることでしょう。この場合、地代だけの支払いをしても土地の扱いは「使用貸借」ではなく、「賃貸借」となってします。そして権利金相当額に対する贈与税がかかってしまうので覚えておきましょう。
使用貸借の場合、固定資産税の支払いはどうなる?
使用貸借なら、権利金や地代を支払うことはありません。
しかしながら、固定資産税程度の支払いであるなら使用貸借の範囲内として認められています。 それで土地の固定資産税を子どもが負担したとしても、贈与税の対象になることはないと言えるでしょう。
2.親の土地に家を建てたら住宅ローンはどうなる?
親の土地に家を建てるなら、親の土地に対する担保設定が必要になることでしょう。
もちろん住宅ローンを組む金融機関や住宅ローンの内容によっても異なりますが、親の名義である土地に、子どもが住宅ローンを組んで家をたてるなら建物が完成した際には、建物にも担保設定が必要になります。大抵の場合は、親が担保提供者になっているので、連帯保証人に親がなるケースが多いようです。
もし仮に親の土地が他の借入を目的として担保に入っているなら、住宅ローンの借入の担保を設定するのは難しくなることを覚えておかなくてはなりません。要するに、親の土地が他に何も担保設定されておらず、担保価値に問題がないようであれば、子どもが親の土地に家を建てることには何の支障もないということです。
また当たり前の話ですが、子どもの自己資金が少ないと住宅ローンの審査ではマイナスとなってしまいます。 住宅ローンを組んで親の土地に家を建てる予定がある方は、可能な限り自己資金を持っておくことをおすすめします。
3.親の土地に家を建てた場合デメリットはある?
デメリットとして挙げられるのが、子供の相続人が複数いる場合に兄弟間で生じ得る相続争いです。
例えば親に名義がある土地を利用して、長男が家を建てたとしましょう。この場合、土地の名義は親、そして建物の名義は長男になります。もし親が亡くなったならどのようなことが生じるのでしょうか?
親の相続財産が土地以外に何もなければ、次男や三男からすれば土地が唯一の相続財産ということになります。
ところが相続できる土地には長男名義の建物が立っているために実際には何の利用価値もありません。
相続人は土地の代わりに金銭による対価を要求することができます。もし次男や三男がこの権利を行使して長男に金銭の支払いを求めたとしたら容易に争いが生じるでしょう。つまり長男は土地の資産価値をできるだけ低く抑えて支払いを少なくしたく、次男や三男はできるだけ多く受け取りたいと考えるのです。こうしたデメリットがあるため、兄弟がいる場合には、相続対策を併せて行う必要があります。
4.親の土地に家を建てた後に名義変更はできる?
土地の名義を親から子どもに移すと贈与税の対象になってしまします。言い換えれば贈与税をしっかりと支払うなら土地の名義変更は可能です。
もし贈与税を支払いたくないなら、「相続時精算課税」という制度を利用することができます。これは2,500万円以内であれば、贈与された時点での贈与税が免除されるという制度です。しかしながら、相続した時には相続税の対象として課税されるという、いわゆる先延ばしの制度であることに注意が必要です。
相続時精算課税制度とは何か?メリットやデメリットも全て解説!
まとめ
親の土地に家を建てる場合には、さまざまな問題があります。 将来的に相続税が絡んできますので、建物を建てる前に、相続専門の税理士に相談しておくことをオススメ致します。
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