貸家建付地の相続税評価
貸家建付地の相続税評価
貸家建付地とは、他人に貸すための家屋がある、その土地のことを指します。
例えば、所有している土地に貸しアパートや貸家などを建築して、他人に貸し付けている場合に、その土地が貸家建付地となります。
貸家建付地の相続税評価について
貸家建付地を相続したときの相続税評価は、一般的に、「自用地とした場合の価額−自用地とした場合の価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合」で計算した価額によって評価します。
なお、ここで、自用地としての価額とは、当該地を他人に貸し出していないとした場合の更地価額のことを言います。
よって、例えば、自用地としての相続税評価額が1,000万円で、借地権割合が0.7、借家権割合が0.3の地域にある貸家建付地の相続税評価額は1,000万円×(1-0.7×0.3)=790万円となります。
土地上の建物が共同住宅である場合の貸家建付地の相続税評価について
土地上の建物が一戸建て住宅であるような場合の貸家建付地の相続税評価額は、上記の計算式によって行いますが、土地上の建物がアパートのような共同住宅の場合には、上記の貸家建付地の相続税評価の計算式に賃貸割合による修正を行った価額が、その相続税評価額になります。
ここで、賃貸割合とは、課税時期(相続開始時点)における借地上にある建物の賃貸可能な独立部分の総面積に占める、課税時期において実際に賃貸に出されている独立部分の総面積の割合のことをいいます。例えば、面積が等しい10室の賃貸マンションのうち、7室が実際に賃貸されていれば、賃貸割合はおおよそ70%となります。
土地上の建物が共同マンションである場合の貸家建付地の相続税評価額は、以下の計算式によって行います。それは、貸家建付地の自用地としての評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)となります。
例えば、自用地としての相続税評価額が1,000万円で、借地権割合が0.7、借家権割合が0.3の地域にある貸家建付地で、土地上の建物がマンションで、その賃貸割合が0.7である場合の当該土地の相続税評価額は、1,000万円×(1-0.7×0.3×0.7)=853万円となります。
相続税対策として、何にも利用していない土地に賃貸住宅を建てていることがよくあります。
同じ場所で同じ広さの土地でも、賃貸住宅を建てている土地には貸家建付地として評価されるため、相続税が少なくなるのです。
例えば、都市部の住宅地でしたら、借地権は50パーセントから70パーセントとなっています。
借家権割合は30パーセントですから、借地権割合が60パーセントなら、借地権割合×借家権割合の、18パーセントに相当する額が、自用地の評価額から差し引かれるわけです。
貸家建付地を利用した相続税対策について
貸家建付地の相続税評価額は、その土地の所在地の借地権割合に借家権割合を乗じた割合だけ、更地よりもその相続税評価が低くなります。相続税対策として貸家建付地を利用する場合には、この差を利用します。
また、相続税対策として貸家建付地を利用すると、小規模宅地等の特例による当該土地の相続税評価額の軽減措置を利用することができる場合があります。
こちらも、節税対策として非常に有効ですので、要件を満たす場合には、是非利用したい制度の1つです。
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