遺産相続に関連する4つの時効とは?
遺産相続にも時効が存在することを知っていましたか?
相続発生後に何も手続きを行わなかった場合、遺産相続の時効を迎え相続人の権利を失ってしまう場合があります。
遺産相続時の様々な時効についてご説明しています。
相続するはずだった遺産が受け取れなかった!ということが無いように、しっかり確認しておきましょう。
1.相続放棄の時効

「相続放棄」とは被相続人の財産などのプラスの遺産、借金などのマイナスの遺産もすべて相続しないようにする手続きのことです。相続放棄には時効が存在します。それは相続が開始してから3か月間と決められています。3か月を過ぎた時点で時効となってしまいます。ですので多額の借金を相続してしまうときには相続放棄を行わないと借金まみれになってしまいます。相続放棄は3か月以内に行うようにしましょう。
相続放棄を行うには家庭裁判所に必要書類を提出する必要があります。さらに家庭裁判所に届出を認めてもらわなければいけません。届出の際に用意していただくものが5つございます。
まず、一つ目に相続放棄申述書。こちらは裁判所のホームページに記載されています。
そして亡くなった方の死亡の記載のある戸籍謄本
亡くなった方の住民票除票または戸籍附票
届出をする人の戸籍謄本
収入印紙800円
1000円程度の郵便切手(家庭裁判所によって金額、枚数は異なりますが、平均1000円くらいです)。
また、届出をする人が亡くなった人の相続人であることを証明するために戸籍が多く必要になることがあります。借金を背負うことにならないためにしっかり頭に入れておきましょう。
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2.遺産分割請求権の時効
被相続人が遺言を残していなかった場合、残された相続人で話し合いをして取り分を決めなければいけません。この話し合いで遺産を分割することを「遺産分割協議」と呼びます。また、共同で相続する人が自分の相続分を決定するために有している請求権を「遺産分割請求権」と呼んでいます。つまり自分が正当に受け取れる遺産額を受け取りたいと訴えることができる権利です。
遺産分割請求権には期間制限などの時効はありません。
そのため遺産分割をしなくても時効によって消滅することはありません。時効はないのでいつ請求しても良いのですが、早めに請求することを強くお勧めします。
遺産分割が行われないと、遺産はいつまでも相続人全員の共有状態となります。遺産がお金の場合は手間もかかりませんが、遺産が不動産だと管理や売却時に面倒な手間がかかってしまうからです。それに、相続人の一人が亡くなったとなると、その相続人について相続が発生することになります。さらにその相続人に子供がいた場合、その子供たちとも話し合いをすることになります。兄弟間でなら感情的なつながりによって、話し合いが順調に進むこともありますが、いとこや親戚などが加わると人数が増えすぎて話をまとめることが困難になってしまいます。そのため時効のあるなしに関わらず、早急に請求するのが吉だと覚えておいてください。
3.遺留分減殺請求権の時効
「遺留分減殺請求」とは相続財産を残して亡くなった被相続人が遺言を残していたときに行われます。
例えば、被相続人が父親。父親は遺産を残して亡くなっています。相続人に長男と次男がいた場合に、父親が『遺産は全て長男に相続させる』という遺言を残していたとします。
この場合、言葉通りに遺産を分割したなら次男には一切財産が入りません。ですが、「遺留分減殺請求」をすることで次男は最低限の遺産を得ることが出来ます。

なぜかというと相続人には最低限の遺産を取得できる権利が保障されているからです。つまり、次男に遺産を相続させないと書いてあっても、遺留分減殺請求をすることで相続分を請求することが出来るのです。その時は弁護士に依頼して請求手続きを行います。
遺留分減殺請求にも時効がございます。

時効期間は1年と定められています。父親の遺言が発見されたときから数えて1年以内に遺留分減殺請求をする必要があります。期限内までに請求は済ませておきましょう。遺言が見つかると慌ただしくなって忙しいですが、早めに提出することでゆとりが生まれます。
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4.相続回復請求権の時効

本来の相続人でない方が遺産を相続した時に、本来の相続人が遺産を相続できなかった場合、本来の相続人は遺産を返してほしいと請求することが出来ます。これを「相続回復請求権」と呼びます。実際に行われたという例は少ないですが、相続人になる方は知識として知っておく必要があるでしょう。
相続回復請求権にも時効が存在します。

それは相続権が侵害されていることを知ったときから5年間、相続開始から20年間有効です。これらの規定は民放884条にも記載されています。民放884条には「相続権を侵害された事実を知ったときから5年間行使しない時は、時効によって消滅する。相続開始の時から20年を経過した時も同様とする。」とだけ記してあります。相続回復請求権の内容には定められていません。つまり、条文にある「相続権を侵害された」という一文から解釈する必要があります。一般的には権利を侵害されている本当の相続人が、相続権が無いのに相続権を主張している人に対して財産の回復を求める権利だとされています。
まとめ
各論点の時効をまとめました!
相続放棄の時効を忘れてしまうと、親の借金を相続しなければならない可能性がありますので、忘れないようにしてください。
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