直系卑属って誰?直系卑属の相続について

前回は直系尊属(ちょっけいそんぞく)についてご説明させていただきました。今回は、直系尊属とセットで覚えておいていただきたい用語「直系卑属(ちょっけいひぞく)」についてご説明します。
直系尊属も、直系卑属も相続や贈与では頻繁に現れる用語です。一緒に覚えておいてくださいね。
直系尊属については以下の記事をご確認ください。
相続時に耳にする直系尊属って誰のこと?直系尊属を説明します!
この記事の目次
1.直系卑属はこの人です!
直系とは、血のつながりのある縦のラインの親族を言います。卑属とは、自分よりも下の世代です。

つまり、直系卑属は血のつながりのある縦のラインの下の世代、子や孫が該当します。ちなみに、血縁関係はありませんが法律上は血縁関係とみなされる「養子」も直系卑属に該当します。
2.直系卑属である子が相続する場合
被相続人の子は相続順位の第1順位となります。そのため、基本的には必ず遺産を相続することになります。しかし、場合によっては第1順位の子でも相続できない場合があります。
相続人の順位については下記をご確認ください。
相続人は誰?相続する順位をくわしく解説!これを見れば、誰でも相続人が誰になるかがわかります。
(1)遺言書により相続できない場合
被相続人が遺言書を遺しており、その遺言書に「子には相続させない」という趣旨の内容や「特定の相続人のみに相続させる」というような趣旨の内容が記載されていた場合が該当します。
遺言はなくなった人の意思が記載されているため、尊重されるべきものではありますが、民法では相続人となる人の権利を守る決まりもあります。そのため、第1順位である子には遺留分というものがあり、遺留分までの財産を相続することが可能です。

第1順位の遺留分は相続財産の1/2です。1/2までの財産であれば請求することが可能です。これを遺留分減殺請求といいます。
遺留分減殺請求については下記をご確認ください。
相続前に知っておきたい遺留分の知識!遺留分減殺請求って何!?
損をしないために知っておきたい遺留分減殺請求の7つのポイント
(2)相続人である子が相続廃除、相続欠格の場合

相続廃除とは、被相続人が生前に家庭裁判所に請求をして相続人としての権利を剥奪することを言います。相続廃除される相続人とは、被相続人に対して重大な屈辱を与えたり、著しい非行があった場合などが該当します。
相続欠格とは、被相続人の意思に関係なく相続人としての権利を剥奪することを言います。相続欠格事由に該当している場合が対象となります。相続欠格事由の詳細については割愛させていただきますが、簡単に説明すると子が親を殺害した、相続に関わる兄弟姉妹を殺害したなどで刑を受けている(受けていた)場合や脅迫して遺言の内容を書き換えさせた場合などが当てはまります。
3.直系卑属である孫が相続する場合
相続人の順位では子が第1順位となります。孫が相続する場合で考えられるパターンは2つです。
(1)遺言で相続する場合
被相続人が遺した遺言に「孫に相続させる」という趣旨の内容が記載されていれば、孫が相続することが可能です。しかし、孫は本来の相続人ではないため「遺贈」という形で財産を受け継ぐことになります。相続人ではない孫が「遺贈」により財産を取得した場合、相続税が2割加算となりますので注意してください。
(2)代襲相続で相続する場合
代襲相続とは、本来相続する予定だった相続人が相続発生以前に他界している場合、その相続人の代わりに子や孫が相続することを言います。

代襲相続で孫が相続する場合には、子(第1順位の相続人)の代わりに相続することになるので、代襲相続する孫が第1順位の相続人となります。そのため、2割加算はされません。
また、直系卑属の代襲相続の場合には、孫→ひ孫→玄孫(やしゃご)→来孫(らいそん)と何代でも代襲相続が可能です。
まとめ
今回は直系卑属についてご説明させていただきました。直系卑属と相続の関係についてご理解いただけたでしょうか?
卑属という部分では傍系(ぼうけい)卑属である姪や甥も該当します。しかし、姪や甥は直系ではありません。姪や甥は第3順位である兄弟姉妹の代襲相続は可能ですが、第3順位となるため遺留分はありません。また、甥や姪の代襲相続は直系卑属の代襲相続と異なり一代のみとなります。併せて覚えておいてくださいね。
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