生産緑地の内容と、相続税の評価額
1.生産緑地とは何か?
農地は、公害や災害を予防したり、緑地としての機能を果たしています。こうした農地の機能に着目し、安全で豊かな居住環境を作るのに役立つ農地等を計画的に残すことによって、より良いまち作りをするために定められた地域地区の一つで、市街化区域内のうち、一定の要件を満たす土地の指定制度に基づいて、管轄の自治体によって指定された土地や森林を生産緑地と言います。
生産緑地に指定するための要件は、生産緑地法によって定められています。
次の三つの全ての要件を満たすことが必要です。
(一)災害や公害を防止したり、都市環境を守る役割を果たしているとともに、将来、公園や緑地、公共施設等の用地として適していること。
(二)面積が500平方メートル以上の農地であること。
(三)農業の継続が可能な条件を備えていること。
生産緑地に指定されるメリットとしては、市や農業委員会から土地を管理するために必要な助言や土地交換の斡旋などの援助が受けられるほか、固定資産税や相続税等、税制上の優遇措置が受けられます。
デメリットとしては、今後も農地として管理することが義務付けられるため、農地以外の利用ができないことです。
2.生産緑地の相続税評価
生産緑地については建築物の新築、宅地造成などを行う場合には、市町村長の許可を受けなければならないこととされており、更にこの許可は、農産物の生産集荷施設や市民農園の施設など(農産物の生産集荷施設や農林漁業に従事する者の休憩所等)を設置する場合以外は、原則として許可されないことになっています。このため、生産緑地地区と指定されると、市街化区域内においても著しく利用が制限されることとなるため、相続税評価額を一定額減額することができます。
■買取申出制度
生産緑地所有者が亡くなった場合には、その後の農業の継続が困難になることから、その生産緑地を市区町村長に対して時価で買い取る旨の申し出を行うことができます。
■生産緑地の相続税評価
生産緑地の価額は、その土地が生産緑地でないものとして評価した価額から、その価額に次に掲げる生産緑地の別に、それぞれの割合を乗じて算出した金額を控除した金額により評価します。
■生産緑地の評価額 = その土地が生産緑地でないものとして評価した価格 × ①
(①=1-(次の(1)又は(2)に掲げる割合
(1)課税時期(相続の場合は被相続人の死亡の日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)において市町村長に対し買取りの申出をすることができない生産緑地
(課税時期から買取りの申出をすることができる日までの期間に応じて以下の割合が定められています)
・5年以下のもの : 10/100
・5年を超え10年以下のもの : 15/100
・10年を超え15年以下のもの : 20/100
・15年を超え20年以下のもの : 25/100
・20年を超え25年以下のもの : 30/100
・25年を超え30年以下のもの : 35/100
(2)課税時期において市町村長に対し買取りの申出が行われていた生産緑地又は買取りの申出をすることができる生産緑地 : 5/100
3.生産緑地は相続税負担が大きい!?
上述のように、生産緑地の相続税評価については一定の減額ができるものの、固定資産税評価額ほどの減額はできないため、相続税の負担が大きくなることが予想されます。農地の納税猶予特例の適用の要否等、税理士と相談の上で対応を検討することが重要です。
今まで見たページ(最大5件)
関連性が高い記事
カテゴリから他の記事を探す
-
財産評価編