相続開始直前のリフォーム費用を計上すべき?判断ポイントと相続税評価

例えば、相続開始前に500万円の費用をかけて玄関やバスルームのリフォームを行ったような場合、この500万円の出金は相続財産として加味する必要があるのでしょうか。
これを判断するためには、以下の国税庁の質疑応答事例が参考となります。
増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の評価
以下、そのまま文言を抜粋すると、以下のようになります。
増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない場合の家屋の価額は、増改築等に係る部分以外の部分に対応する固定資産税評価額に、当該増改築等に係る部分の価額として、当該増改築等に係る家屋と状況の類似した付近の家屋の固定資産税評価額を基として、その付近の家屋との構造、経過年数、用途等の差を考慮して評定した価額(ただし、状況の類似した付近の家屋がない場合には、その増改築等に係る部分の再建築価額から課税時期までの間における償却費相当額を控除した価額の100分の70に相当する金額)を加算した価額(課税時期から申告期限までの間に、その家屋の課税時期の状況に応じた固定資産税評価額が付された場合には、その固定資産税評価額)に基づき財産評価基本通達89(家屋の評価)又は93(貸家の評価)の定めにより評価します。
なお、償却費相当額は、財産評価基本通達89-2(文化財建造物である家屋の評価)の(2)に定める評価方法に準じて、再建築価額から当該価額に0.1を乗じて計算した金額を控除した価額に、その家屋の耐用年数(減価償却資産の耐用年数等に関する省令に規定する耐用年数)のうちに占める経過年数(増改築等の時から課税時期までの期間に相当する年数(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は、1年とします。))の割合を乗じて計算します。
(国税庁「質疑応答事例」より)
リフォームされた建物の相続税評価額は?
これに従い、実務上の相続税評価額の計上額を計算するための計算式は以下のようになります。
(“かかった費用” - “償却費相当額”)×70%
ここで、償却費相当額の計算に注意が必要です。通常の所得税や法人税で減価償却費を計算する場合とは異なり、まずは取得費に90%を乗じた後に計算をします。
修繕の範囲内であれば(資本的支出でなければ)計上不要
ここで、このリフォーム費用が修繕費と認められる(いわゆる資本的支出に該当しない)場合は、そもそもこの式に当てはめて相続財産に計上する必要はありません。
例えば、以下のような費用です。
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- ・外壁の補修
これを利用して、生前に修繕としてのリフォームを行うことで相続財産を減らし、相続税対策を行うケースもあります。
なお、資本的支出かどうかを判定するには以下のサイトでのフローチャートが参考になります。
ただ、法人税や所得税の取扱いと相続税の財産評価の取扱いは100%同一ではないので、このフローチャートで資本的支出に該当しなかったからといって、絶対大丈夫というわけではないことに注意が必要です。
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