3分でわかる!名義預金の基礎知識。名義預金の影響で、相続税が追加で発生!?
夫が子のために子の名義で貯金している場合や、専業主婦の妻が夫の収入から受け取ったお金を妻の名義で貯金している場合、 名義は子や妻にも関わらず、夫の財産になってしまうことがあることをご存じでしたでしょうか?
子供名義や妻名義の貯金がなぜ、夫の財産となってしまうのでしょうか? また、もし夫の財産とみなされてしまった場合には、どんなデメリットがあるのでしょうか?
今回は、名義預金について解説していきます。
この記事の目次
1.そもそも名義預金とは、どんな預金?

名義預金とは、自分の通帳に財産を置いておくのではなく、親族などの通帳の名義を借りて、そこに自分のお金を預けておくこと、またはその口座そのものをいいます。
例えば、親が子のために、自身の給与から毎月子の名義で貯金していたとします。口座の名義人は子供になっていますが、実態としては、親の給与から貯めたものですので「親の預金」と同じです。
そのため、相続税の税務調査に入った場合には、子供名義の預貯金にも関わらず、夫の貯金ですね!とみなされて、税金を追加で支払わなければならないことがあります。
ポイント ![]() |
名義預金かどうかは、その預金の支出元から税務署が判定します。相続税の税務調査が入り、名義預金とみなされてしまうと、多くの税金を支払うことになってしまいます。
名義預金としてみなされる場合の具体例

税務署職員が相続人の配偶者の通帳をチェックしたところ、5,000万円の貯金があることがわかりました。
当然、税務署職員としては尋ねます。「これは、あなた(配偶者)が働いて稼いだお金ですか」。
それに対して、配偶者が夫(被相続人)から生活費のためにといわれて、もらっていたと答えたとします。生活水準にもよりますが、一般家庭であれば生活費にしては多すぎると言えるでしょう。
その結果、これは被相続人の財産を妻の名義で預かっていたとみなされてしまうのです。
つまり、配偶者はこの財産(5,000万円の貯金)を「相続」したことになり、相続税がかかってきます。これが名義預金の例です。 これは生活費として夫から受け取ったお金の中からへそくりとして貯めていた場合も同様で、このようなケースはちょくちょく発生します。
せっかく苦労して貯めたお金なのに名義預金にされてしまうのは、どうしても受け入れがたいものがあります。できれば妻の財産とみなしてほしいのですが、税務署ではこれを名義預金と考え、相続税を課すことになっています。名義預金として指摘された場合には、税務署の言う通り、黙って受け入れるしかありません。
補足
相続専門の税理士を頼れば、何かと得することもあります。
相続税を支払う場合は、税務署の指示に従うことが普通ですが、指示に従いすぎると無駄な税金を支払わなければならないことがあります。相続税の税務調査が入る場合、相続専門の税理士に参加してもらうという手があります。
税理士に参加してもらうことで、税理士が税務署の指摘を実際の税法に従って即座に判断し、妥当でない指摘には反論したり減額要素を主張してもらうことが出来ます。
もちろん、税理士を頼めばそれ相応の報酬を支払わなければなりませんが、相続税額の増加額よりも、税理士に支払う料金が安くなるケースがよくあります。 後で、税理士に立ち会ってもらえばよかったといっても、取り返しがつかないのです。そのため心配な方は、前もって、相続専門の税理士に依頼しておきましょう。
2.名義預金とされないためには、どうしたらいい?
名義預金とみなされると相続税を支払わなくてはいけなくなると書きましたが、この事態をなんとか防ぐ方法はないものでしょうか。

結論から言うと、名義預金とみなされないための対策はあります。
名義預金対策として事前に「贈与契約書」というものを作成しておけばいいのです。 その贈与契約書に基づいて、贈与税の申告を毎年欠かさずします。これだけしっかり行っておけば、贈与があったものと認められるので、後で名義預金とみなされることはなくなり税務調査が入っても追加で相続税を払わなくて済みます。
いくら贈与をしたといっても、証拠がなければ税務署は受け入れてくれません。ですから、必ず贈与契約書を作成し贈与税申告をしておくことが必要になってくるのです。
ところで、贈与税の非課税枠は110万円です。
生前贈与の非課税枠は110万円以内その中に収めれば税金を払わなくて済む?
この金額以内なら贈与契約書を作成しなくてもいいように思えますが、やはり作成はしておくことをおすすめします。申告の必要がなくても作成しておけば贈与の証拠になるためです。
1年以内の贈与額が小さくても、毎年贈与しているとかなりの金額になります。相続税対策のためにも、贈与契約書は作成するようにしてください。
110万円以上の贈与額ならば贈与税の申告書も併せて作成しておきましょう。贈与税の申告書の作り方は、国税庁のホームページなどを参考にしてください。申告書自体は、毎年変わりません。コピーを保管しておけば、2年目以降は簡単に作成することができるでしょう。
贈与契約書にはどんな内容を記載するの?
贈与者と受贈者の間で、贈与の契約を交わしたことを記します。
第一条として、贈与者が受贈者に贈与する財産を記入し、その通り贈与することを約束する旨を書き入れます。
第二条として、指定の期日までにその財産を受贈者の銀行口座に振り込むことを書き込みます。贈与契約書を作成した暁には、各自が署名をし、押印ののち1通ずつ保管することを決めます。
最後に、契約書の作成日時と贈与者・受贈者双方の名前と住所を署名し、押印して終わります。
3.名義預金と見られないために押さえておきたい点





これらの点を押さえておけば、名義預金とはみなされにくくなります。
4.名義預金の調査の仕方
税務署には、預金口座のお金の流れを調べる方法があります。誰が対象であっても調査できます。あなたの口座もチェックされていると思っておいたほうがいいでしょう。
税務調査は、口座チェックが済んでから行われます。相続があった場合は、被相続人の口座も相続人の口座も見られている可能性が高いです。特に大きな金額が動いていると、その出金先も調べられます。
昔は、郵便局なら大丈夫と言われましたが、そんなことはありません。例外なくすべての金融機関が調査の対象になります。
特に100万円以上のお金が出入りしている場合は、特に目を付けられがちで、名義預金の存在もばれる可能性が高いと考えた方が良いでしょう。
5.名義預金とみなされるのはいつ?
いつ名義預金とみなされるのか、気になることでしょう。
名義預金としてみなされるのは、相続税の税務調査の時です。
それなら、その税務調査を免れれば、うまいこと相続税を払わなくて済むと考える人もいるでしょうが、なかなかそうはいきません。
ご自身で最初に相続税の申告をするときは、名義預金を含めないことが多いと思われます。その後、税務調査でこの事実が判明し、名義預金の相続税を後から申告したとします。 その場合は、相続税の罰則の税金を課されます。相続税の修正申告には、罰則があるのです。以下が罰則の内容です。
まとめ
名義預金にならないための対策はさほど難しくありません。生前からの対策が必要になりますので、将来相続税が発生する可能性がある方は、事前に対策することをオススメします。
また、実際の相続税申告において名義預金は相続財産に含めて申告する必要がありますが、名義預金になるかどうかの判別を行うことは、一般の方には難しい場合もあります。名義を持つ方自身の収入や家庭の生活水準などに拠る場合があるためです。
判断に迷う口座がある場合には、相続税専門の税理士に依頼した方がスムーズに申告できるでしょう。
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