相続欠格と推定相続人の廃除
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相続欠格と推定相続人の廃除
相続において、相続人がどんな親不孝を行っても、親の財産を相続することができるのでしょうか。
民法では、「相続欠格」、「排除」という制度が設けられています。
この制度により相続権を剥奪されることもあり得ます。
ちょっと仰々しいですが、こんなことが起こったらどうでしょう。
ある相続人が、自分の相続分を増やすために他の相続人を詐欺や脅迫で自分に有利なように遺言書を書き換えさせてしまった。
相続に関して不正な行為をした者の相続を認めることは、正義に反し、法律感情の許さないところであるのは言うまでもありません。
一種の制裁ないし私法罰として、相続欠格という制度があり、相続人が一定の非行をした場合には、法律上当然に相続権を剥奪する制度なのです。
相続欠格は、特別の裁判手続きや意思表示は必要ありません。
民法では5つの欠格事由をあげており、これにあてはまれば、法律上当然に発生し、相続欠格者は相続資格を失うとされています。
相続人の排除について
さらに、「相続欠格」と似ているものに、「排除」があります。
廃除とは、被相続人の請求に基づき、家庭裁判所が審判または調停により、遺留分を有する特定の相続人の相続資格を剥奪する制度です。
非行をした相続人の相続資格を剥奪するという点では、相続欠格と同様の意味を持つ制度ですが、被相続人の意思によるという点で、相続欠格とは異なります。
法律上当然に相続資格を剥奪すべきといえるほど重大な非行でなく、より軽度の非行がある場合の制裁ということもできます。
民法が排除の事由として2点をあげています。
・相続人に対する虐待または重大な侮辱
・その他の著しい非行
では、排除はどのような手続きを経て効力が生じるかというと、家庭裁判所の審判または調停によらなければなりません。
つまり、排除を希望するには家庭裁判所に排除の申し立てを行う必要があります。
なお、排除は遺言によっても可能です。
では、一旦、相続欠格や排除となればそれを取り消すことはできないのでしょうか。
相続欠格については民法上何の規定もありません。
最近の学説では、被相続人には財産処分の自由があることを理由に、宥恕(許すこと)による欠格者の相続資格回復を肯定する見解が有力です。
一方の排除の場合には、被相続人が当該相続人に相続させることを希望する限り、特段の理由なく、廃除の取り消しにより相続資格を回復させることはできます。
ただし、権利関係を明確にするため、取り消しにも家庭裁判所の審判または調停が必要です。
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