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贈与財産の範囲/みなし贈与(受けた利益の価額))|非公開裁決事例|相続大辞典|相続税の申告相談なら【税理士法人チェスター】
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贈与財産の範囲/みなし贈与(受けた利益の価額))|非公開裁決事例

≪裁決の要旨≫

1 本件は、原処分庁が、被相続人の納税義務を承継した審査請求人(以下「請求人」という。)に対し、被相続人名義の預金口座に振り込まれた金員(以下「本件振込金」という。)につき、被相続人が贈与を受けたものとみなして、贈与税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分を行ったため、請求人が、当該振込金は、被相続人ら一族の経営するゴルフ経営会社の民事再生に伴い、被相続人、請求人及び当該振込みをした親族が負担することとなった金員等を、便宜上全額被相続人名義の預金口座に振り込んだものであって、当該振込金額の一部は、請求人に対する経済的利益であるなどとして、原処分の一部の取消しを求めた事案であり、争点は本件振込金のうち、被相続人が受けた利益の額である。

2 再生計画等により、被相続人グループ(被相続人・請求人及びその親族)及び請求人が代表取締役を務めるB社は、それぞれ平成21年8月17日までにA社に対し、相殺後旧保証金及び分割対価の額に相当する金額を支払うこととされたところ、本件振込金は、このような再生計画等の履行のための資金とされる予定の金員であったと認めるのが相当である。

3 結局、本件振込金は、本件返金額の返還も予定しつつ、再生計画の履行のための資金の額が確定する前に、当該資金の額が確定した際に当該資金に充てる目的で、便宜上被相続人口座に振り込まれたものであって、被相続人と親族との間に、当該振込みによって、本件振込金を被相続人に帰属させる意思はなかったものと認めるのが相当である。

4 被相続人にとって、本件振込金は、親族から、いわば仮受金として預け置かれたものであったと認められるから、原処分庁の主張するように、本件振込金の額に相当する金額を親族から贈与により取得したものとみなすことはできないのである。

5 被相続人及び請求人は、親族から著しく低い価額の対価(負担)で本件被相続人利益(相殺後旧保証金の返済・会社分割により事業の譲渡を受けたB社への貸付金の取得に係るもの)及び本件請求人利益を受けたものと認められるから、被相続人及び請求人は、本件請求人振込金が代理人口座に振り込まれた平成21年8月12日に、本件被相続人利益及び本件請求人利益の価額に相当する金額を親族から贈与により取得したものとみなすことが相当である。

6 被相続人は、平成21年8月12日に親族から本件被相続人利益の価額及び本件振込金残額から本件返金額を差し引いた金額の合計額に相当する金額を贈与により取得したものと認めるのが相当である。

7 なお、本件請求人利益の価額に相当する金額は、親族から請求人が贈与により取得したものとみなすことが相当であるから、当該金額は、請求人の平成21年分の贈与税の課税価格に算入されるべきものであって、被相続人の平成21年分の贈与税の課税価格には算入されない。

≪本文≫

1 事  実

(1) 事案の概要
本件は、原処分庁が、被相続人の納税義務を承継した審査請求人(以下「請求人」という。)に対し、被相続人名義の預金口座に振り込まれた金員(以下「本件振込金」という。)につき、被相続人が贈与を受けたものとみなして、贈与税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分を行ったため、請求人が、当該振込金は、被相続人ら一族の経営する会社の民事再生に伴い、被相続人、請求人及び当該振込みをした親族らが負担することとなった金員等を、便宜上全額被相続人名義の預金口座に振り込んだものであって、当該振込金額の一部は、請求人に対する経済的利益であるなどとして、原処分の一部の取消しを求めた事案であり、争点は本件振込金のうち、被相続人が受けた利益の額である。

(2) 審査請求に至る経緯等
審査請求(平成24年12月25日請求)に至る経緯は、別表のとおりである。なお、別表に記載の決定処分を以下「本件決定処分」といい、無申告加算税の賦課決定処分を「本件賦課決定処分」といい、これらを併せて「本件決定処分等」という。また、本件決定処分等については、被相続人(〇〇〇〇〇)が、〇〇〇〇〇〇〇〇に死亡したことに伴い、被相続人から相続分全部の指定を受けた請求人が、国税通則法第5条《相続による国税の納付義務の承継》第1項及び第2項の規定により、被相続人に課されるべき贈与税の納付義務の全部を承継したことから、請求人に対してされたものである。

(3) 関係法令等
イ 国税通則法第5条第1項は、相続があった場合には、相続人は、その被相続人に課されるべき国税を納める義務を承継する旨規定し、同条第2項は、相続人が2人以上あるときは、各相続人が承継する国税の額は、民法第900条から第902条(法定相続分・代襲相続人の相続分・遺言による相続分の指定)の規定によるその相続分によりあん分して計算した額とする旨規定している。

ロ 相続税法第9条は、同法第5条から第8条まで及び同法第1章第3節に規定する場合を除くほか、対価を支払わないで、又は著しく低い価額の対価で利益を受けた場合においては、当該利益を受けた時において、当該利益を受けた者が、当該利益を受けた時における当該利益の価額に相当する金額を当該利益を受けさせた者から贈与により取得したものとみなす旨規定している。

ハ 相続税法基本通達9-1《「利益を受けた」の意義》は、相続税法第9条に規定する「利益を受けた」とは、おおむね利益を受けた者の財産の増加又は債務の減少があった場合等をいい、労務の提供等を受けたような場合は、これに含まない旨定めている。

(4) 基礎事実
次の事実については、請求人と原処分庁の間に争いがなく、当審判所の調査の結果によってもその事実が認められる。

イ 請求人の母である被相続人(〇〇〇〇〇)は、〇〇〇〇〇〇〇〇に死亡した。被相続人の夫は〇〇〇〇に死亡しており、子は長女である請求人のほか、長男の〇〇〇〇(以下「〇〇」という。)がいたが、〇〇は、〇〇〇〇〇〇〇〇に死亡した。同人の相続人は、配偶者の〇〇〇〇並びに、前妻との間の子である〇〇〇〇、〇〇〇及び〇〇〇〇(以下、それぞれを「〇〇」「〇〇」「〇」「〇〇」といい、全ての者を併せて「〇〇相続人ら」という。また、〇〇相続人ら、被相続人及び請求人を併せて「被相続人グループ」という。)の4名である。なお、被相続人の相続人は、子である請求人並びに〇〇の代襲相続人である〇〇、〇及び〇〇の4名であるが、〇及び〇〇は、被相続人の相続に関し、〇〇〇〇〇〇〇から、〇〇〇〇〇〇〇〇付で相続放棄の申述を受理した旨の審判の告知を受けた。請求人を含む関係者の親族関係図は、別紙2のとおりである。

ロ 被相続人は、平成19年9月20日に要旨次のとおりの遺言公正証書を作成した。
(イ) 被相続人が死亡したとき、被相続人所有の全部の不動産(持分権を含む。)及び金融資産を含め、被相続人の財産一切を請求人に相続させる。
(ロ) 当該遺言の遺言執行者として、請求人を指定する。

2 主  張

原 処 分 庁

本件振込金は、被相続人名義の〇〇〇〇〇〇〇〇〇の普通預金口座(口座番号〇〇〇。以下「本件被相続人口座」という。)に振り込まれたものである。  そして、本件被相続人口座には、平成21年4月の定額給付金の入金、同年8月の請求人名義の同支店の普通預金口座(口座番号〇〇〇。以下「本件請求人口座」という。)への〇〇〇〇〇の振込出金並びに同年9月に支払機による出金及び〇〇〇〇〇〇〇〇(以下「〇〇〇〇」という。)に対する振込みがあり、〇〇〇〇に対する振込みは、被相続人の〇〇〇〇に対する借入金の返済に充てられているから、本件被相続人口座は、被相続人に帰属する固有の財産と認められる。〇〇相続人らが本件被相続人口座に〇〇〇〇〇〇(本件振込金)を振り込んだ時点において、その全額が、被相続人の財産となり、みなし贈与として贈与税の課税対象

請  求  人

本件振込金が、本件被相続人口座に振り込まれた経緯は、以下のとおりである。 請求人の親族が経営するゴルフ場経営会社である〇〇〇〇〇〇〇〇(以下「〇〇〇〇」という。)が民事再生法の適用を申請し、民事再生手続における会社分割対価の精算金の一部を、被相続人グループが拠出する必要があった。民事再生に至ったのは、〇〇のワンマン経営が理由であり、〇〇に責任があることから、本来、被相続人及び請求人が負担する額を、〇〇相続人らに拠出させ、その際、便宜上一旦被相続人名義の口座に振り込んだものである。 以上のことから、〇〇相続人らから経済的利益を受けたのは、被相続人一人ではなく、被相続人と請求人の二人であり、原処分のうち請求人が受けた利益に相当する部分を取り消すべきである。

3 判  断

(1) 法令解釈

相続税法第9条は、対価を支払わないで、又は著しく低い価額の対価で利益を受けた場合は、贈与の意思の有無にかかわらず、当該利益に相当する金額を、当該利益を受けさせた者から、贈与により取得したものとみなす旨規定している。この規定の趣旨は、私法上の贈与契約によって財産を取得したのではないが、経済効果としては贈与と同じ実質が生ずる場合に、贈与の意思がなければ贈与税を課税することができないとするならば、課税の公平を失することになるので、この不合理を補うために、実質的に対価を支払わないで.又は著しく低い価額の対価で経済的利益を受けた場合においては、贈与契約の有無にかかわらず当該利益を受けさせた者から贈与により取得したものとみなし、これを課税財産として贈与税を課税することとしたものである。また、相続税法基本通達9-1は、同条に規定する「利益を受けた」場合とは、おおむね利益を受けた者の財産の増加又は債務の減少があった場合等をいうなどと定めているが、同通達の定めは、同条の上記規定の趣旨に照らして相当であると認められる。

(2) 認定事実

原処分関係資料、請求人提出資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。

イ 本件の関係会社について

(イ) 〇〇〇〇は、昭和41年1月28日に、不動産の売買を主な事業とする法人として〇〇〇〇〇〇〇〇の商号で設立され、昭和45年2月2日に〇〇〇〇〇〇〇〇に組織変更し、昭和47年9月23日に〇〇〇〇〇〇〇〇に商号変更がなされた。〇〇は、昭和48年3月20日から〇〇〇〇〇〇〇〇に死亡するまで同社の代表取締役の地位にあり、被相続人は、昭和45年6月20日から〇〇〇〇〇〇〇〇に死亡するまで取締役の地位にあり、請求人は、昭和62年8月20日から昭和63年3月17日まで監査役、同日から取締役、平成18年4月4日から代表取締役の地位にある。

(ロ) 〇〇〇〇は、昭和58年8月2日にゴルフ場の経営を主な事業とする法人として設立され、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇(以下「〇〇〇〇〇〇〇〇」という。)及び〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇(以下「〇〇〇〇〇〇〇〇」といい、〇〇〇〇〇〇〇〇と併せて「本件各ゴルフ倶楽部」という。)の名称で2か所のゴルフ場を経営していたが、平成21年8月31日の〇〇〇〇〇〇〇〇(以下「〇〇〇〇」という。)及び〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇(以下「〇〇〇〇〇〇〇〇」という。)への会社分割を経て、同年11月13日の株主総会の決議により解散し、平成22年4月22日に清算が結了した。〇〇〇〇は、設立当初から解散の日まで、被相続人の夫〇〇〇の弟である〇〇〇〇(以下「〇〇」という。)が代表取締役の地位にあり、〇〇〇は、設立当初から同人が死亡する〇〇〇〇〇〇〇〇まで、〇〇は、昭和63年3月17日から同人が死亡する〇〇〇〇〇〇〇〇まで、それぞれ〇〇と共同による代表取締役の地位にあった。なお、被相続人は、設立当初から同人が死亡する〇〇〇〇〇〇〇〇まで監査役の地位にあり、請求人は、昭和63年3月17日から解散の日まで取締役の地位にあった。

(ハ) 〇〇〇〇〇〇〇〇は、平成20年7月17日にゴルフ場の経営を主な事業とする法人として設立され、同日から請求人が代表取締役の地位にある。

ロ 〇〇〇〇の民事再生について

(イ) 平成20年3月3日に、〇〇〇〇の株主である被相続人グループと〇〇及び〇〇の子である〇〇〇〇ら(以下「〇〇グループ」という。)との間で、同社の再生に関して、双方の代理人弁護士確認のもと、株主間協定が締結され、同日付の株主間協定書が作成された。同協定書には、〇〇〇〇の再生は民事再生手続によるものとし、同社を、〇〇〇〇〇〇〇〇を経営する会社と〇〇〇〇〇〇〇〇を経営する会社に会社分割の手法で二分割し、各グループがいずれか一方の会社の経営権を取得する旨記載されている。

(ロ) 〇〇〇〇は、〇〇〇〇〇〇〇〇、〇〇〇〇〇〇〇に対して、民事再生法第21条《再生手続開始の申立て》の規定に基づく再生手続開始を申し立て、〇〇〇〇〇〇の再生手続開始決定、〇〇〇〇〇〇〇〇の債権者集会における再生計画案の可決及び同裁判所による再生計画の認可決定を経て、〇〇〇〇〇〇に再生計画認可決定が確定した(以下、当該認可決定が確定した再生計画を「本件再生計画」という。)。なお、本件再生計画による〇〇〇〇の再生手続のうち被控訴人グループに関する部分は要旨次のとおりである。

A 〇〇〇〇は、本件再生計画の認可決定確定日以降、速やかに、会社法上の吸収分割の方法により、〇〇〇〇〇〇〇〇のゴルフ場事業を〇〇〇〇(代表取締役〇〇〇〇)に、〇〇〇〇〇〇〇〇のゴルフ場事業を〇〇〇〇〇〇〇〇にそれぞれ承継させる。

B 〇〇〇〇は、〇〇〇〇〇〇〇〇から、〇〇〇〇〇〇〇〇のゴルフ場事業の適正な対価として〇〇〇〇〇〇(以下「本件分割対価」という。)を認可決定確定日後5か月以内の日を目処とする吸収分割の効力発生日(以下「分割期日」という。)に受領する。

C 〇〇〇〇は、本件各ゴルフ倶楽部の敷地として賃借している土地(以下「ゴルフ倶楽部の土地」という。)の賃貸人である被相続人グループ及び〇〇から保証金合計1,684,262,800円の弁済を受ける。

D 〇〇〇〇は、同社とゴルフ会員契約を締結し同社に預託金を預託した者で再生手続開始決定時点においてその全額の返還を受けていない者(以下「会員債権者」という。)に対して、分割期日から3か月以内に、預託金の15パーセントに相当する額(以下「本件弁済額」という。)を一括して弁済する。ただし、〇〇〇〇〇〇〇〇との間で新たに会員契約の締結を希望する会員債権者(以下「継続会員」という。)は、同社に対して再生計画認可決定確定後2か月以内に入会申込をし、本件弁済額のうち預託金の10.5パーセントに相当する弁済金請求権を同社に対する新預託金として同社に債権譲渡することにより、同社と会員契約を締結することができる。

(ハ) 〇〇〇〇と〇〇〇〇〇〇〇〇は、平成21年4月15日に、本件再生計画に基づく吸収分割に係る分割期日を平成21年8月31日(以下「本件分割期日」という。)とする旨の分割契約を締結し、同日付の分割契約書を作成した。

(ニ) 被相続人グループと〇〇は、平成21年7月25日に、それぞれが2分の1の持分で所有する本件各ゴルフ倶楽部の土地の持分について、①被相続人グループが所有する〇〇〇〇〇〇〇〇の土地の持分を、〇〇に〇〇〇〇〇〇で譲渡する旨、②〇〇は、〇〇〇〇〇〇〇〇の土地の同人が所有する持分を、被相続人グループに〇〇〇〇〇〇で譲渡する旨の売買契約を締結し、同日付の売買契約書をそれぞれ作成した。また、上記各売買契約に基づく売買代金支払請求権は、対当額で相殺され、〇〇が被相続人グループに支払うべき相殺後の売買代金〇〇〇〇〇〇〇(以下「本件相殺後売買代金」という。)は、平成21年8月10日に、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇の〇〇〇〇代理人〇〇〇〇〇〇〇預り金口名義の普通預金口座(口座番号〇〇〇。以下「〇〇〇〇代理人口座」という。)に〇〇を振込依頼人として振込みにより入金された。なお、上記各売買によって、〇〇〇〇〇〇〇〇の土地は被相続人グループのみが所有することとなった。

(ホ) 〇〇〇〇、〇〇〇〇、〇〇〇〇〇〇〇〇、被相続人グループ及び〇〇グループは、平成21年7月31日に、本件再生計画の履行に関して、要旨次のとおり合意(以下「本件合意」といい、本件再生計画と併せて「本件再生計画等」という。)し、同日付の合意書を作成した。

A 被相続人グループ及び〇〇が〇〇〇〇に弁済すべき上記(ロ)のCの保証金は、各〇〇〇〇〇〇であることを確認する(以下、被相続人グループが弁済すべき保証金を「本件旧保証金」という。)。

B 〇〇〇〇〇〇〇〇は、継続会員から新預託金として譲渡を受けた〇〇〇〇に対する弁済金請求権を被相続人グループから賃借する〇〇〇〇〇〇〇〇の土地の保証金(以下「本件新保証金」という。)として被相続人グループに譲渡し、被相続人グループは、〇〇〇〇に対する当該弁済金請求権と〇〇〇〇に弁済すべき本件旧保証金とを対当額にて相殺する(以下、当該相殺後の本件旧保証金を「本件相殺後旧保証金」という。)。

C 被相続人グループは、本件相殺後旧保証金を、〇〇〇〇〇〇〇〇は、本件分割対価〇〇〇〇〇〇を、それぞれ平成21年8月17日までに〇〇〇〇に支払い、〇〇〇〇〇〇〇〇は、本件分割期日をもって〇〇〇〇〇〇〇〇の事業を承継する。

(ヘ) その後、〇〇〇〇〇〇〇〇の継続会員の数が確定したことにより、〇〇〇〇〇〇〇〇が継続会員から本件新預託金として譲渡を受けた〇〇〇〇に対する弁済金請求権及び本件新保証金の額が〇〇〇〇〇〇に確定し、被相続人グループが〇〇〇〇に弁済すべき本件相殺後旧保証金の額も〇〇〇〇〇〇(本件旧保証金〇〇〇〇〇〇から弁済金請求権〇〇〇〇〇〇を引いたもの)に確定した。

(ト) 平成21年8月12日に請求人を振込依頼人として〇〇〇〇代理人口座に〇〇〇〇〇〇(以下「本件請求人振込金」という。)が振り込まれた。なお、当該振込金と上記(ニ)のとおり平成21年8月10日に同口座に振り込まれた本件相殺後売買代金〇〇〇〇〇〇との合計額〇〇〇〇〇〇〇は、平成21年9月24日に同口座から払い戻されて〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇の〇〇〇〇名義の普通預金口座(口座番号〇〇〇)に振り込まれ、その後、〇〇〇〇の再生債権者に対する弁済等に充当された。

(チ) 本件各ゴルフ倶楽部の土地は、本件再生計画が履行されるまで、被相続人グループと〇〇がそれぞれ2分の1の持分で共有し、〇〇〇〇に賃貸されていたものであるが、被相続人グループの各人の持分は、被相続人が20分の3、請求人が20分の3及び〇〇相続人らが20分の4であり、上記(ニ)の各売買により、〇〇〇〇〇〇〇〇の土地について、被相続人及び請求人が各10分の3、〇〇相続人らが10分の4の割合で所有することとなったものと認められる。

ハ 本件振込金に関する資金の移動状況等について

本件振込金に関する資金の移動状況等は、以下のとおりである。
(イ) 〇〇の死亡退職金等の支払
〇〇〇〇は、平成21年3月16日の取締役会において、〇〇に対して退職慰労金165,000,000円(以下「本件死亡退職慰労金」という。)及び弔慰金15,000,000円の合計180,000,000円(以下「本件死亡退職金等」という。)を支払う旨を決議し、同日付の取締役会議事録が作成された。なお、本件死亡退職金等は、平成21年3月23日、〇〇相続人ら各人が法定相続分に応じて取得する旨の同人らによる協議に基づき、〇〇に90,000,000円並びに〇〇、〇及び〇〇にそれぞれ30,000,000円が、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇の各人名義の普通預金口座への振込みにより支払われた。

(ロ) 本件振込金の振込み
平成21年3月23日及び24日、〇〇相続人らは、上記(イ)の各人名義の普通預金口座から、〇〇〇〇〇〇〇〇、〇〇〇〇〇〇〇〇、〇〇〇〇〇〇〇及び〇〇〇〇〇〇〇〇を払い戻し、これらの合計(ただし振込手数料を除く。)である本件振込金〇〇〇〇〇〇を本件被相続人口座に振り込んだ。なお、本件死亡退職金等180,000,000円と本件振込金〇〇〇〇〇〇の差額〇〇〇〇〇〇は、本件死亡退職慰労金の支払により、〇〇相続人らが追加で支払うべき〇〇の相続に係る相続税として、概算により計算された金額である。

(ハ) 被相続人から〇〇相続人らへの振込み
平成21年4月8日、被相続人は、〇〇〇〇〇〇〇〇〇の被相続人名義の普通預金口座から〇〇〇〇〇〇(以下「本件返金額」という。)を払い戻し、上記(イ)の〇〇相続人ら各人名義の普通預金口座に振り込んだ。なお、本件返金額は、本件死亡退職慰労金の支払により、〇〇相続人らが平成21年4月10日に原処分庁に提出した〇〇の相続に係る相続税の修正申告書に記載された〇〇相続人らが追加で支払うべき相続税〇〇〇〇〇〇と上記(ロ)の概算による追加税額に相当する金額〇〇〇〇〇〇との差額である。

(ニ) 本件請求人振込金
平成21年8月10日、〇〇〇〇から、〇〇〇〇〇〇が本件請求人口座に振り込まれた。なお、〇〇〇〇は、当該振込額に相当する金額を、請求人に対する仮払金として経理し、同月31日、当該仮払金は、〇〇相続人らからの仮受金〇〇〇〇〇〇(〇〇〇〇〇〇〇〇、〇〇〇〇〇〇〇〇、〇〇〇〇〇〇〇、〇〇〇〇〇〇〇〇)との相殺により精算された。また、同月11日、本件被相続人口座から、〇〇〇〇〇〇及び〇〇〇〇〇〇がそれぞれ払い戻され、振込手数料を除いた〇〇〇〇〇〇及び〇〇〇〇〇〇(以下「本件各金員」という。)が、それぞれ本件請求人口座に振り込まれた。さらに、同月12日、本件請求人口座から、〇〇〇〇〇〇が払い戻され、本件請求人振込金(上記各振込金の合計額〇〇〇〇〇〇)として、〇〇〇〇代理人口座に振り込まれた。

(ホ) 〇〇〇〇〇〇〇〇の経理処理
〇〇〇〇〇〇〇〇は、〇〇〇〇に支払われた本件分割対価の額〇〇〇〇〇〇を、被相続人グループに対する未払金として経理した。なお、各人ごとの未払金計上額は、被相続人〇〇〇〇〇〇、請求人〇〇〇〇〇〇及び〇〇相続人ら〇〇〇〇〇〇である。

(ヘ) 本件被相続人口座のその他の出金等
平成21年9月15日、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇の自動支払機を使用して、本件被相続人口座から500,735円(手数料を含む)が払い戻された。また、同月18日、本件被相続人口座から14,500,315円が払い戻され、〇〇〇〇〇〇〇〇〇の〇〇〇〇名義の普通預金口座(口座番号〇〇〇)に14,500,000円が振り込まれた。なお、〇〇〇〇は、当該振込金を被相続人に対する貸付金14,500,000円の返済として経理した。さらに、請求人は、被相続人が死亡した〇〇〇〇〇〇〇〇現在における本件被相続人口座の預金残高91,541円を、被相続人の相続財産として相続税の申告書を提出した。

ニ 関係者の答述等について

(イ) 請求人の答述
請求人は、当審判所に対して要旨次のとおり答述した。

A 〇〇〇〇の再生計画を担当している弁護士団とは、私が被相続人及び〇〇相続人らから全ての権限の委任状を受け取り、私が窓口として対応した。

B ゴルフ場再建に総額〇〇〇〇〇〇〇が必要となり、そのうち〇〇〇〇〇〇は本件相殺後売買代金を充て、残額〇〇〇〇〇〇は、〇〇相続人ら4、被相続人3、私が3の割合で負担することになったが、〇〇の経営責任で〇〇〇〇が民事再生法の適用を受けることとなったので、〇〇相続人らが被相続人と私の負担分を負担するということで本件振込金の振込みがあった。

C 本件振込金を本件被相続人口座に振り込ませたのは、被相続人が〇〇死亡後の家長的な存在であったこと、どこかにお金を保管しなくてはならなくなり、被相続人の口座だと皆が安心するということ、本件被相続人口座が被相続人と私の共同管理だったことからである。

(ロ) 〇〇の申述
〇〇は、原処分庁に対して要旨次のとおり申述した。

A 本件振込金は、〇〇〇〇の従業員から、本件再生計画のスキーム表を見せられ、言われたとおりに振り込んだもので、〇〇相続人らの負担分の4割だと思っていた。私が取りまとめたが、〇〇、〇及び〇〇はよく分かっていないと思う。贈与した覚えはない。

B 本件振込金の振込みについて被相続人と話したことはない。本件被相続人口座は、トンネル口座みたいなものだと思う。

C 請求人から、〇〇の経営責任をいわれていたが、そのために本件振込金を支払ったということはない。返してもらえるならありがたいが、経営責任で負担したということで穏便に終わらせてほしい。

(ハ) 〇〇の答述
〇〇は、当審判所に対して要旨次のとおり答述した。

A 本件振込金は、民事再生の負担金と認識しており、被相続人と請求人の負担分を、経営責任があった〇〇の相続人らで負担したことになると思う。被相続人や請求人に贈与したつもりはない。

B 本件振込金を本件被相続人口座に振り込んだのは、被相続人が〇〇〇の中心的な存在であったからだと思う。

(3) 判断

イ 本件振込金の振込み自体をもって、被相続人が利益を受けたとはいえないことについて

(イ) 本件振込金〇〇〇〇〇〇は、上記(2)のハの(ロ)のとおり、平成21年3月23日及び24日、〇〇相続人ら各人名義の普通預金口座から本件被相続人口座に振り込まれたものである。

(ロ) 原処分庁は、〇〇相続人らが本件被相続人口座に本件振込金を振り込んだことにより、被相続人は本件振込金の額に相当する利益を受けたのであり、被相続人は、同金額を〇〇相続人らから贈与により取得したものとみなされる旨主張する。しかしながら、本件振込金は、本件再生計画等の履行のための資金の一部を、仮に本件被相続人口座に預け置く趣旨で振り込まれたものであるから、振込みによって本件振込金相当額の利益が被相続人に帰属したものとはいえない。
すなわち、本件再生計画等により、被相続人グループ(被相続人、請求人及び〇〇相続人ら)及び請求人が代表取締役を務める〇〇〇〇〇〇〇〇は、それぞれ平成21年8月17日までに〇〇〇〇に対し、本件相殺後旧保証金〔上記(2)のロの(ホ)のB〕及び本件分割対価〔同(ロ)のB〕の額に相当する金額を支払うこととされたところ、上記(2)のニの請求人及び〇〇の答述等からすれば、本件振込金は、このような本件再生計画等の履行のための資金とされる予定の金員であったと認めるのが相当である。
同資金のうち、本件相殺後旧保証金は、被相続人グループが支払うべきとされた金員であるものの、以下の事情を考え併せれば、同金員に関しても本件振込金の振込み自体によって被相続人が利益を受けたものとは認められない。

A 上記(2)のロの(ロ)のとおり、本件再生計画の認可決定が確定したのは〇〇〇〇〇〇〇〇であり、また、同(ホ)及び(ヘ)のとおり、本件相殺後旧保証金の額が確定したのは、本件合意がなされた平成21年7月31日の後であるから、本件再生計画の履行に必要な資金の金額が確定したのは、いずれも本件振込金の振込みの後である。

B また、上記(2)のハの(ロ)及び(ハ)のとおり、本件振込金の金額は、本件死亡退職金等の額から〇〇相続人らが追加で支払うべき相続税の概算額を控除した金額と一致しており、その後、当該概算額を超える相続税の額が確定したことにより、被相続人は、当該超える額に相当する本件返金額を〇〇相続人らに返還している。

C さらに、上記(2)のニの(イ)とおり、請求人は、被相続人が〇〇〇の家長的な存在であったから、本件振込金を本件被相続人口座で保管すれば皆が安心する旨答述し、〇〇も、同(ロ)のとおり、本件振込金は、〇〇〇〇の従業員に言われたとおりに振り込んだもので、本件被相続人口座はトンネル口座みたいなものだと思う旨申述するとともに、同(ハ)のとおり、本件振込金を本件被相続人口座に振り込んだのは、被相続人が〇〇〇の中心的な存在であったからだと思う旨答述している。

(ハ) 結局、本件振込金は、本件返金額の返還も予定しつつ、本件再生計画の履行のための資金の額が確定する前に、当該資金の額が確定した際に当該資金に充てる目的で、便宜上本件被相続人口座に振り込まれたものであって、被相続人と〇〇相続人らとの間に、当該振込みによって、本件振込金を被相続人に帰属させる意思はなかったものと認めるのが相当である。
被相続人にとって、本件振込金は、〇〇相続人らから、いわば仮受金として預け置かれたものであったと認められるから、原処分庁の主張するように、本件振込金の額に相当する金額を〇〇相続人らから贈与により取得したものとみなすことはできないのである。

ロ 被相続人が〇〇相続人らから贈与を受けたとみなされること及びその金額について

(イ) 本件相殺後旧保証金及び本件分割対価の弁済により、被相続人が贈与を受けたとみなされることについて

A 本件相殺後旧保証金及び本件分割対価の弁済
上記(2)のロの(ロ)のB、(ホ)及び(ヘ)のとおり、本件再生計画等により、被相続人グループには〇〇〇〇に対して本件相殺後旧保証金〇〇〇〇〇〇を弁済する義務が、〇〇〇〇〇〇〇〇〇には〇〇〇〇に対して本件分割対価〇〇〇〇〇〇を支払う義務がそれぞれ生じたこととなり、これらの弁済義務等は、上記(2)のロの(ニ)及び(ト)のとおり、本件相殺後売買代金〇〇〇〇〇〇及び本件請求人振込金〇〇〇〇〇〇が〇〇〇〇代理人口座に振り込まれたことにより履行されたこととなる。

B 本件相殺後旧保証金及び本件分割対価の弁済による被相続人の利益
(A) 本件相殺後旧保証金の弁済により、被相続人の債務が〇〇〇〇〇〇減少したものと認められることは、以下のとおりである。本件相殺後旧保証金とは、本件各ゴルフ倶楽部の土地持分を〇〇〇〇に賃貸していた被相続人グループが、上記(2)のロの(ロ)のCのとおり再生計画に伴う賃貸借契約の精算に際し〇〇〇〇に負った保証金返還債務から、同(ホ)のBのとおり、新たに〇〇〇〇〇〇〇〇の土地を賃借することとなった〇〇〇〇〇〇〇〇が請求人に対して支払うべき保証金(本件新保証金)を差し引いた金員である。そして、上記(2)のロの(チ)のとおり、本件再生計画前、本件各ゴルフ倶楽部の土地は、それぞれ被相続人及び請求人が各20分の3及び〇〇相続人らが20分の4の割合で所有していたものであり、上記(2)のロの(ニ)の各売買により、〇〇〇〇〇〇〇〇の土地について、被相続人及び請求人が各10分の3、〇〇相続人らが10分の4の割合で所有することとなったものと認められる。これに加えて、上記(2)のニの(イ)のBのとおり、請求人が、本件各ゴルフ倶楽部の再建に必要な金額について、〇〇相続人らが4、被相続人及び請求人が3の割合で負担することとなった旨申述していることなどからすれば、本件相殺後旧保証金〇〇〇〇〇〇は、被相続人及び請求人が各10分の3、〇〇相続人らが10分の4の割合で負担すべきものと認めるのが相当であり、これを覆すに足りる証拠はない。そうすると、本件相殺後旧保証金の弁済により.被相続人及び請求人は、それぞれ〇〇〇〇〇〇の債務が減少したこととなり、〇〇相続人らは、〇〇〇〇〇〇の債務が減少したものと認められる。

(B) 次に、本件分割対価の弁済により、被相続人が〇〇〇〇〇〇〇〇に対する〇〇〇〇〇〇の貸金債権を取得したものと認められることは、以下のとおりである。本件分割対価は、本件再生計画等により〇〇〇〇〇〇〇〇が負った債務であるところ、本件相殺後売買代金及び本件請求人振込金の原資は、被相続人グループの財産であるから、〇〇〇〇〇〇〇〇は、被相続人グループの出捐により本件分割対価を〇〇〇〇に支払ったこととなる。そして、上記(2)のハの(ホ)のとおり、〇〇〇〇〇〇〇〇は、本件分割対価の額に相当する金額を、被相続人グループに対する未払金として経理しており、〇〇〇〇〇〇〇〇は同金額を被相続人グループから借り入れたものと認められる。したがって、当該債務を支払ったことにより、被相続人グループは、〇〇〇〇〇〇〇〇に対して、本件分割対価の額に相当する貸金債権(以下「本件貸付金」という。)を取得したものと認められるのである。さらに、〇〇〇〇〇〇〇〇が、本件貸付金を未払金として計上するに当たり、上記(2)のハの(ホ)のとおり被相続人について〇〇〇〇〇〇、請求人について〇〇〇〇〇〇、〇〇相続人らについて〇〇〇〇〇〇と振り分けて計上していることから、本件貸付金のうち被相続人は〇〇〇〇〇〇を、請求人が〇〇〇〇〇〇を、〇〇相続人らが〇〇〇〇〇〇を取得したものと認めるのが相当である。

(C) そうすると、被相続人の、本件相殺後旧保証金の弁済による債務の減少額及び本件貸付金の取得による財産の増加額の合計額は〇〇〇〇〇〇であり、請求人は〇〇〇〇〇〇、〇〇相続人らは〇〇〇〇〇〇となる。

C 本件相殺後旧保証金及び本件分割対価の弁済に係る各人の出捐額
(A) 本件相殺後旧保証金及び本件分割対価の弁済の原資となったのは、本件相殺後売買代金及び本件請求人振込金である。

(B) このうち、本件相殺後売買代金〇〇〇〇〇〇については、上記(2)のロの(ニ)のとおり、①被相続人グループが〇〇〇〇〇〇〇〇の土地の持分を〇〇に譲渡した売買代金から、②〇〇が〇〇〇〇〇〇〇〇の土地の持分を被相続人グループに譲渡した売買代金を差し引いたものである。そして、同(チ)のとおり、被相続人グループは、各売買の前、〇〇〇〇〇〇〇〇の同グループの土地持分2分の1に対し、被相続人及び請求人が各10分の3、〇〇相続人らが10分の4の割合で所有しており、各売買により、〇〇〇〇〇〇〇〇の〇〇の土地持分2分の1をそれぞれ同割合で取得したものと認められるから、各人に帰属する本件相殺後売買代金も、同割合により、被相続人及び請求人がそれぞれ〇〇〇〇〇〇、〇〇相続人らが〇〇〇〇〇〇となるものと認めるのが相当である。

(C) また、上記(2)のハの(イ)、(ロ)及び(ニ)のとおり、本件請求人振込金の〇〇〇〇〇〇の原資は、本件振込金及び〇〇〇〇が仮に支払った金員であるところ、同仮払金については、〇〇相続人らが精算しているのであって、結局本件請求人振込金は、全て〇〇相続人らの出捐によるものであると認められる。

(D) 以上によれば、本件相殺後旧保証金の弁済及び本件貸付金の取得に当たり各人が負担した金額は、被相続人及び請求人がそれぞれ〇〇〇〇〇〇、〇〇相続人らが〇〇〇〇〇〇となる。

D 同弁済により被相続人が利益を受けたこと及び利益の価額
上記B及びCのとおり、被相続人は、〇〇〇〇〇〇の負担で〇〇〇〇〇〇の財産の増加及び債務の減少があったこととなるから、その差額の〇〇〇〇〇〇の利益(以下「本件被相続人利益」という。)を受けたこととなる。また、請求人は、〇〇〇〇〇〇の負担で〇〇〇〇〇〇の財産の増加及び債務の減少があったこととなるから、その差額の〇〇〇〇〇〇の利益(以下「本件請求人利益」という。)を受けたこととなる。そして、〇〇相続人らは、〇〇〇〇〇〇の負担をしたにもかかわらず〇〇〇〇〇〇の財産の増加及び債務の減少しかなかったこととなるから、被相続人及び請求人の利益は、〇〇相続人らから受けたものと認められる。

E 同弁済により、被相続人が受けた利益が、〇〇相続人らからの贈与とみなされること
上記Dのとおり、被相続人及び請求人は、〇〇相続人らから本件被相続人利益及び本件請求人利益を受けたものと認められるところ、請求人は、〇〇〇〇が民事再生に至ったのは、〇〇に経営責任があることから、被相続人及び請求人が負担する額を〇〇相続人らに拠出させた旨主張し、上記(2)のニの(イ)のBのとおり、当審判所に対しても同様の答述をしていること並びに上記(2)のニの(ロ)及び(ハ)のとおり、〇〇も、本件振込金について被相続人及び請求人に贈与したつもりはない旨申述及び答述している。これらの答述内容等からすれば、〇〇相続人らと被相続人及び請求人との間に、明示又は黙示の贈与契約があったものとは認められない。しかしながら、請求人や〇〇が述べる〇〇の経営責任について、関係者の間で被相続人の〇〇に対する損害賠償請求権等としてその存否や内容等が具体的に確認された形跡はないことや〇〇の答述内容等も考慮すると、被相続人及び請求人は、〇〇相続人らから著しく低い価額の対価(負担)で本件被相続人利益及び本件請求人利益を受けたものと認められるから、上記(1)で説示したとおり、被相続人及び請求人は、本件請求人振込金が〇〇〇〇代理人口座に振り込まれた平成21年8月12日に、本件被相続人利益及び本件請求人利益の価額に相当する金額を〇〇相続人らから贈与により取得したものとみなすことが相当である。

(ロ) 本件各金員の払戻後の本件振込金について
本件振込金の総額は〇〇〇〇〇〇であるところ、このうち、平成21年8月12日に上記(イ)の本件相殺後旧保証金及び本件分割対価の弁済に使われた金員は、上記(2)のハの(ニ)のとおり、合計〇〇〇〇〇〇(本件各金員)と振込手数料であり、本件各金員の払戻後の残額は〇〇〇〇〇(以下「本件振込金残額」という。)である。そして、上記(2)のハの(ヘ)のとおり、本件振込金残額については、そのうち14,500,000円が〇〇〇〇の被相続人に対する貸付金の返済に充てられ、また被相続人死亡日時点の預金残高91,541円は被相続人に係る相続税の申告書において、被相続人の相続財産として計上されるなど、被相続人の財産として扱われている。そうすると、本件振込金残額は、平成21年8月12日に本件各金員が本件被相続人口座から払い戻され、本件請求人口座を経由して本件請求人振込金の一部として〇〇代理人口座に振り込まれ、本件相殺後旧保証金及び本件分割対価の履行に充てられたことによって、もはや〇〇相続人らからの仮受金としての性格を失い、被相続人が自由に処分できる資金となったものと認められる。もっとも、本件振込金は、いまだ本件相殺後旧保証金の額等が未定であった平成21年3月23日及び24日に振り込まれたものであり、その額は本件死亡退職金等の額から、本件死亡退職慰労金の支払に伴う相続税相当額(概算)を差し引いた額であったところ、上記(2)のハの(ハ)のとおり、同年4月に、〇〇相続人らは、同相続税に関して修正申告をすることとなり、被相続人は、同月8日に、同修正申告に係る納付すべき税額と、前記概算による相続税相当額の差額に相当する〇〇〇〇〇(本件返金額)を〇〇相続人らに支払っている。かかる経緯からすれば、〇〇相続人らから被相続人が対価を支払わずに受けた利益は、本件振込金残額〇〇〇〇〇〇から、本件返金額〇〇〇〇〇を差し引いた〇〇〇〇〇〇であったものと認められる。以上のとおり、被相続人は、平成21年8月12日に、本件被相続人利益のほか〇〇〇〇〇〇を〇〇相続人らから贈与により取得したものとみなすことが相当である。

(ハ) 被相続人が贈与によって取得したものとみなされる金額について
上記(イ)のE及び(ロ)のとおり、被相続人は、平成21年8月12日に〇〇相続人らから本件被相続人利益の価額〇〇〇〇〇〇及び本件振込金残額から本件返金額を差し引いた〇〇〇〇〇〇の合計〇〇〇〇〇〇に相当する金額を贈与により取得したものと認めるのが相当である。なお、上記(イ)のEのとおり、本件請求人利益の価額に相当する金額〇〇〇〇〇〇は、〇〇相続人らから請求人が贈与により取得したものとみなすことが相当であるから、当該金額は、請求人の平成21年分の贈与税の課税価格に算入されるべきものであって、被相続人の平成21年分の贈与税の課税価格には算入されない。

ハ 原処分庁の主張について
原処分庁は、本件被相続人口座が被相続人に帰属する固有の財産であると認められることから本件振込金が同口座に入金された時点において、被相続人の財産になる旨主張する。しかしながら、本件振込金は、便宜上本件被相続人口座に振り込まれたものであって、被相続人と〇〇相続人らとの間に、当該振込みによって、本件振込金を被相続人に帰属させる意思があったものと認めることはできず、被相続人にとって、本件振込金は、〇〇相続人らからの、いわば仮受金であったと認められることは、上記イにおいて認定説示したとおりであり、本件振込金の振込みの時に被相続人が本件振込金の額に相当する金額の利益を受けた旨の原処分庁の主張を採用することはできない。

(4) 本件決定処分等について
イ 本件決定処分について
上記(3)のロの(ハ)のとおり、被相続人が〇〇相続人らから贈与によって取得したものとみなされる金額は、〇〇〇〇〇〇である。そうすると、被相続人の平成21年分贈与税の課税価格は、〇〇〇〇〇〇、また納付すべき税額は〇〇〇〇〇〇となり、本件決定処分の金額を下回るから、本件決定処分は、別紙1「取消額等計算書」のとおり、その一部を取り消すべきである。

ロ 本件賦課決定処分について本件決定処分が、上記イのとおり、その一部が取り消されることに伴い、無申告加算税の基礎となる税額は、〇〇〇〇〇〇となるところ、請求人から被相続人の平成21年分贈与税の期限内申告書の提出がなかったことについて、国税通則法第66条《無申告加算税》第1項に規定する正当な理由があったとは認められない。したがって、被相続人に対して賦課すべき無申告加算税を計算すると〇〇〇〇〇となり、本件賦課決定処分の金額を下回るから、本件賦課決定処分は、別紙1「取消額等計算書」のとおり、その一部を取り消すべきである。

(5) その他
原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

よって、主文のとおり裁決する。

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