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老人ホームへの入所により小規模宅地の特例が使えない場合について
2012/06/18
関連キーワード: 小規模宅地等の特例
相続税を大幅に軽減することができる制度の例として、小規模宅地の特例という制度があります。中でも、多くの方に当てはまるのは、特定居住用の小規模宅地の特例ではないでしょうか。
この制度は、240㎡まで80%土地の評価を減額することができるという特例です。
しかし、この制度が適用できる宅地は、相続開始直前において被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当しなければなりません。
そのため、被相続人が居住していた建物を離れて老人ホームに入所しそのまま亡くなり、 相続開始直前まで空家となっていた場合に、この制度が適用できるかどうか問題となります。
国税庁の回答要旨を調べると、このケースの場合には、原則として適用できないと判断するようです。
なぜなら、老人ホームに入所するということは、それに伴い被相続人の生活の拠点も移転したものと考え、 相続開始直前において被相続人の居住の用に供されていた宅地に該当しないからです。
しかし、例外もあり、以下に掲げるように、病気治療のためやむをえず病院に入院した場合と同じような状況に該当するときには適用できます。
- (1) 被相続人の身体又は精神上の理由により介護を受ける必要があるため、老人ホームへ入所することとなったものと認められること。
- (2) 被相続人がいつでも生活できるようその建物の維持管理が行われていたこと。
- (3) 入所後あらたにその建物を他の者の居住の用その他の用に供していた事実がないこと。
- (4) その老人ホームは、被相続人が入所するために被相続人又はその親族によって所有権が取得され、あるいは終身利用権が取得されたものでないこと。
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